金曜日の夜に文京シビックホールにコンサートを聞きにいった。
ヴァイオリンの大谷康子さんはこの年がデビュー50周年とのこと。テレビの音楽番組にレギュラー出演していて、お話ぶりも快活、客席には熱心なファンのかたもみえるようだった。
ピアノの福間洸太朗さんは、ひとが日本出身のピアニストとして辻井伸行さんに並んで高く評価しているのを拝読したことがあって、演奏をきくのははじめてだった。
演目はこのようになってある
- ドビュッシー「ベルガマスク組曲」より「月の光」
- エルガー「愛の挨拶」
- 山田耕筰「哀詩(滝廉太郎「荒城の月」を主題とする変奏曲)」
- 幸田延「ヴァイオリン・ソナタ第一番」より第一楽章
- ストラヴィンスキー「ミューズの神を率いるアポロ」
- 貴志康一「竹取物語」
- ホルスト「夜の歌」
- ベートヴェン「ピアノ・ソナタ第14番、月光」
- フランク「ヴァイオリン・ソナタ」
明治のころの音楽を中心に組んであるというのが趣向であるらしい。日本に西洋音楽を導入した音楽家たちが夏目漱石とのあいだに交遊をもっていたというのを示すのは、文京区を会場にしていることへの目配せだ。そして夏目漱石のゆかりといってロンドンの作曲家たちもかいまみさせる。
意欲的な選曲だったとおもう。幸田延という女性が音楽教育の草分けとして、山田耕筰と滝廉太郎を指導した、なんていうことはさっぱり知りもしていなかった。ぼくが教育されたとおもった。貴志康一は戦前の神戸の裕福な生まれで、自作自演の作曲者兼指揮者としてドイツと日本で活躍した。そんなひともおられたということを教わった。
大谷さんが、これからもみなさんが音楽を毎日たのしむことができますように、とあかるくおっしゃった。言語による知識は充実したけど、音楽を無心にこの日は聴くのがむずかしかった。非音楽の頭ばかり冴えてしまった。邪念がおおくて耳が濁った。もったいなかったなとおもって、もっと素直に聴きたかったなとおもった。