金曜日の早朝、この前とおなじように羽田空港まで行って帰る時計回りのコースを走ることにした。午後から雨が降り出して週末も降る予報だから、その前にあそんでおこうという着想。
六時に出ればスイスイ走れて八時には混むという観察をこの前の月曜日に手に入れた。それは祝日のことだったわけで、この日はそれに比べて平日の朝。ちょっとたいへんだ。
はじめは交通量がおおいというよりもほかのトラブルがみえた。出勤までの時間を路上駐車で潰さないといけない大型トラックたちが車線をひとつぶっ潰しているのが混乱をもたらしていそう。たぶん本当の交通量はそれほどひどくないが、トラックのおしりに突っ込まないように右往左往する車たちが見かけ上の流れをかなり難しくしていた。
月曜日とおなじように環二通りのトンネルを勝どきに向かってくぐって湾岸道路にはいる。そこから東京ゲートブリッジに向かおうというときに、新木場の手前で側道に下りないといけないのをすっかり見落としてしまって、葛西まで長い道をわたった。この下り道は快走だった。
そのすこし手前で、バイクの液晶が “FUEL!” と危なそうな点滅をするのがみえた。しかも葛西からの上り道が大渋滞になっているのにしっかりハマってしまった。羽田空港までいってもガソリンはもつといえばもちそうだけれど、時間はどんどん過ぎていく。遅くならないように帰って仕事に戻るつもりだったのに計算が狂ったとおもって、空港はあきらめて帰ろうとおもう。
晴海までもどってきて信号待ちをしていたら、しばらく消えていた “FUEL!” がおもいだしたみたいにさっきよりも大暴れの点滅をはじめた。まだ限界ということはないとおもうんだけど、さっさと補給したほうがいいぜと合図してくれているのはたしかなよう。家まで近づいてから近所のスタンドに寄ろうとおもっていたけど、途中にはいりやすそうなところがあったらそこで給油するか、とおもったとき目の前にエネオスがあったので飛び込んだ。 13L とすこしはいった。
タンクの容量が 15L あるうち残り 3.5L をきると “FUEL!” が光るというのを覚えていたけれど、点滅させたのははじめてだった。まだいちども “FUEL!” を光らせたことはなかった。コツコツ給油してやっていた。
このあいだ南伊豆にいった帰りに修善寺に寄ったとき、満タンにした次の瞬間にガソリンメーターが底を打つのをみた。センサーが馬鹿になっていそうとおもったものだった。いつも腹一杯でいるのに慣れすぎて、空腹の感覚を忘れていそう。それで太ったペットみたいに「はやくエサをくれ」みたいな文句を垂れてるんじゃないの、と疑った。
いちどタンクを空に近づけてみよう。それで “FUEL!” がちゃんと光るのをみてみよう。そういう実験をしていたのだった。
その “FUEL!” がいま出てしまったのと、千葉から東京に向かう早朝の渋滞の合せ技で、羽田にいきたかったのにいけなかった。いっぽうで、ガソリンメータはいちおう満タンを指して落ちついていた。きょうだけ安定したふりをしてまたいかれてしまうのかもしれないけれど…。
バイク屋さんがおじいさんだとおもって乗らないとですねといっていたのをおもいだして、それでもやむなしとおもうことにしよう。すくなくとも、ほんとうにまずいときは “FUEL!” の警告が機能していることはわかって一安心だ。
それはそうと、朝の都内が早朝なら空いているとおもったのはたまたまこの前は休日だから空いていただけみたいだ。平日の朝ははたらく車でまあまあたいへんだ。それでも夜よりはだいぶましという手ごたえもあったから、こんどは未明くらいに出てひと走りしてみよう。起きてすぐに仕事をするのも野暮だけれど、目が覚めてしまうときは覚めてしまうものだから、あそびがひとつあると気晴らしにちょうどいい。