おなかの調子が悪いとパートナーがいった。日曜の朝のことだった。

寝起きにこむら返りをよく起こすといっていて、それは水分不足のせいじゃないかしらと当たりをつけて、寝る前と起きた後に麦茶をいっぱい飲んでもらっていた。でもこの日の朝の麦茶はおなかを刺激して、身体が吸収するのを待たずにトイレに駆け込んで流された。

休日診療に担ぎこもうかとよぎったけれど、すこしずつだけ水を飲んでやすんでいれば安定するようす。水分は刻々と身体から抜けていっているはずで、これでちゃんと失ったぶんを補給できてかしらと心配しながら、様子をみた。熱中症対策に常温のグリーンダカラを常備しているやつがあるから、それならおなかにやさしく飲めるのではといってちびちび飲んでもらった。

看病しているあいだにこちらも昼寝をしてしまって、起きたらもう夕方だ。よるごはんは食べられそうといっていて、食欲もあるみたい。餃子が食べたいといった。棒餃子なら楽にできそうだよと教わって、近所のスーパーへ行ってエビとかを買ってきた。エビのワタを取ってたたいてタネを作ってもらっているあいだに、こちらは別のスーパーまでパクチーを探して買ってきた。ササッと作れた。

夜八時。いただきます、といって食べはじめてすこししたあと、腹痛がぶり返してしまった。あんまりつらくて、床に座り込んで再起不能になってしまった。昼はなかった微熱もあるみたい。たいへんだ。

九時半までなら夜間外来の受付をしている診療所があるのを都のウェブサイトでみて電話をかけた。点滴や入院はできません、処方薬も応急のぶんしか出せませんがいいですか、というのに、はい構いませんと応えて予約をいれた。寝間着のままクッションを抱えてもらって、タクシーで荻窪の診療所まで運んでもらった。ごはんを食べていた途中で急にタクシーに乗ったのですこし車酔いになりかけた。

ふらふらと歩くのに付き添って受付をして、問診票を代筆した。診察室にも同伴して、高齢の先生が診断なさるのをガリガリメモ書きした。ウイルス性の腸炎。整腸剤と漢方でやわらげる。乳製品は控えるように。固いものもフルーツも控えるように。うどんとか食べるように。梅干しとかで塩分も補うように。

夜間薬局で処方を待つあいだにだんだんお腹はやすらいできたみたいで、帰りは歩けるまでになった。診療代と処方代は十割負担で合わせて一万円くらいだった。現金払いだけとあらかじめ言われていたのでおおめに持ってきていた現金で払った。

荻窪駅からバスに乗って帰ろうかとおもって構内をわたって出たところ、乗りたかったバスが目の前を通っていくのがみえてしまって、それなら電車に乗ろうと言われて電車に乗った。阿佐ヶ谷駅からは電動シェアサイクルを並べて家まで走らせて帰った。