連休初日なのに雨で退屈な午後、この前はじめてお邪魔した「アビーロード」にまた出かける。
電話をかけてうかがうとマスターは顔をおぼえていてくれた。いまはシティ・ポップかけてたんですよ、いやあこれは侮れないですね、といって80年代の国産の音源をまず代わる代わるかけてくださった。
話のながれで、学生のときジャズ研にいたのを告白した。え! コンボですか? というので、そうそう、モダンでと話した。マスターはニコニコして、なあんだ、じゃあこれはどう、これはどう? という具合に、お好きな音源を次から次にかけてくださった。
- ゲイリー・バートン・カルテットの “The New Quartet” (1973)
- ムラヴィンスキー指揮のレニングラード交響楽団で、チャイコフスキーの悲愴 (1960)
- レヴァイン指揮のベルリン・フィルで、ベルリオーズの幻想交響曲 (1990)
- ポール・ウィナーズの “The Poll Winners Ride Again!” (1958)
- ケニー・バレルの “Midnight Blue” (1963)
- L.A.フォアの “Watch What Happens” (1978)
- アール・クルーの “Living inside Your Love” (1976)
最後にカウント・ベイシーのライブアルバムで “Cute” がはいっているのと赤いジャケットだったのをたよりにウェブ検索してもそれらしいレコードが出てこないレコード。バッファローの群れが目の前を横切るみたいなエネルギーの演奏でした。
予定してたよりもずっと長く三時間も長居させてもらって、きょうも勉強させてもらった。コーヒーを二杯もらった。メニュー外でかっぱえびせんのわさび味をわけてくれた。居心地はすこぶるよかった。
この前きたときに隣にいたひとのことがギターの音域とか調音のことをあれこれ尋ねてくれて、わたしは電気屋なもんで、と自分でおっしゃっていた。そのことを思い出していったら、はて電気屋のひとなんていたかなとマスターはお考えになる。ああ! といって、そのひとは東芝の技術畑で管理職していたひとで、外国に買収されたときは矢面にいてたいへんだったみたいだけど、引退したあとは東京の大学でたまにおしえてる先生だよ、とならった。
石巻に住んでるベーシストがきょう来るっていってたけど、結局さいごまであらわれなくておかしいなとマスターは首をひねってた。そのひとがみえるのもたのしみにしていたけど、たぶんきょうではなくともそのうちお会いできる気がした。