よく晴れた土曜日の昼はバイクで出かける。

すこし先の古民家カフェまでお昼を食べにいく。腹は減ったが料理をする気分にはならなくて、近くでなにか食べるにも魚の気分でもハンバーグの気分でもそばの気分でもなかった。ピンとくるものがなにかないかなとなんとなく地図をながめたら、奥松島パークラインを走っているときに道沿いに手作りの看板が立っているのでおぼえた古民家カフェがあったのをおもいだして、太麺のナポリタンがメニューにある様子なのをみて、ああこれが食べたいとおもわせた。

正午に出て二十分くらいで着いた。風の冷たさとお日さまのあたたかさがちょうど補いあった。猛暑が終わったあといっきに冷えて、ちょうどいいあたたかさというものがないわねと不満におもわせることはある。とはいえ、外に出てみればいまこそそのちょうどいい秋のすばらしい気候だ。あんがい長い秋をわれらはたのしみながら、ありがたみも忘れてしまっているようでもあった。ないものねだりには気をつけよう。

入口で靴を脱がされて古民家にはいった。カウンターの席にかけた。奥にある古いレコードプレーヤーを誰かがたわむれに動かしてシナトラの歌をかけた。キャベツのサラダ、大盛りのナポリタン、ホットコーヒー、と順番にいただいた。ナポリタンのハムは薄切り、ピーマンはすくなめで、あまり炒めなくていいだけ油がすくなくたっぷりの太いスパゲティをもりもり食べられるのがよかった。

さいきん引越してきたんす、という話をした。おや、市役所のコーディネータのMさんもよくここに来てますよ。お店をはじめたのが十年前くらいで、おなじころにMさんも引越してきて、そのころからおたがいイベントに紹介しあったり長い付き合いで、この黒板の絵なんかもたわむれにたのんだら一日がかりで八時間も苦吟してゼロから描きあげてくれてね。という思い出ばなしをおしえてもらった。夜も夜でやってるから、電車に乗って飲みにきてね。それか車できたら、駐めたまま電車で帰って、次の日また車だけとりにきてくれてもいいから。うちは焼き鳥がオイシイヨ、とおしえてもらった。

帰り道はすこし遠回りして、まだいったことのない小牛田駅のあたりまでみにいってみて、そこからまっすぐ家まで帰ろうかしら。そういって、頭のなかにだけ地図をいれて、農道をだいたい勘でわたりながら太い道に出たら、おもわずまっすぐ家まで帰る道に出てしまっていた。どこかでひとつまちがえたんだとおもう。家に帰ろうとさせる勘は実にさえていたようで、きょうはそれがほしい日ではなかった。で、代わりに野蒜のビーチに寄り道して帰るようにした。

すこし海をながめて休憩したときに、距離計に13980キロと出ているのがみえた。あとちょっとで切り番になりそうで、家までは10キロくらいだからもうちょっと遠回りして、ぴったり切りを打ったときに写真を撮ってやることにした。まっすぐ帰る道ではなくて、なんとなく曲がったことのない通りを曲がっていくらか大回りに帰っても、街につながる道は結局いっぽんなのであんまり稼げなくて、さいごは家をとおりすぎて向こうの防波堤沿いの長い直線まですすんでやっと切りをみた。14000キロ。

千の倍数といってかならず気にするというよりは、いつもは気づいたときには繰り上がりが済んでいて、過ぎてしまえば気にもしないで放っておく。気にして写真を撮った思い出といえばいつか峠を走りにいって帰りの農道で停めたことがあったとおもいだせば、それはちょうど一年前のいまごろに秩父にいった帰りに9000キロを打ったときのようすだった1。この一年で5000キロ。

まあまあ、通勤も通学もしないにしてはたのしく使ってあげられた一年のようだったかな。なにげなくあちこち連れていってもらったのをおもいだす。冬がきたらしばらくおやすみになるというときに、一年の締めくくりのはじめのひとつを済ませた気分ともなる。