前にオイル交換をしたのは三月で、それはそのすぐあとに浜松まで出かけたのとセットでおぼえていた。そこから半年以上経って、そこからの走行距離も四千キロになって、明らかに交換のタイミングはおとずれていそうだ。

町のバイク屋さんはもともとカワサキの正規代理店をやっている立派なところ。市役所のひとからこうお話をきいていた。跡継ぎをお探しになられていた。ピンとくる後継者候補の応募があって、夏には仙台からその若いひとが赴任される予定だった。直前、不意のゴタゴタでたち消えになってしまった。あんまり詳しいことには踏み込まずに「残念でしたね…」と世間話に聞いた。いずれお店はいまも親方がひとり支えていて、たしかな評判のある古い工場らしい。そこにはじめていってみる。

お店の敷地のなかにはいって、邪魔にならないあたりにバイクを停めて、ヘルメットを脱いだりしてゆっくりお店のなかをのぞくと、鍵はあいているのに声をかけても誰もいない。すこし待ってもたぶんなにも変わらないとおもって、いちど外に出て奥にまわってみたらガレージがあって、親方はそこで仕事をしておられた。大型のオフロードっぽいバイクの面倒をみておられた。声をかけても通らない様子だったので、邪魔にならないように待っていた。で、一段落ついたときにオイル交換してほしいことを伝えたら、寡黙にして面倒をみていただけた。

この前のオイル交換のとき、東京の親方はこういった。車検記録はオイルを交換してフィルタ未交換のようだから、ほんとうは今回フィルタも替えないとだめね。ただ、いまちょっと在庫がないから仕方なくて、次のサイクルで忘れず替えよう。まあ一回くらいなら誤魔化しきくから大丈夫、大丈夫。といって、おなじ工房でまたオイル替えてください、こんどはフィルタも、と再訪する前に引越してきてしまったわけ。

あたらしいバイク屋さんにはじめて持ちこんで、フィルタの在庫はあるかなあというのを心配していたけれど、さすがカワサキの代理店ということで、正規の箱からピカピカのオイルフィルタを取り出してパキッと付け替えてくださった。オイルもカワサキ純正のものを2リットルぶん、ゴクゴクと飲ませてやっていただいた。

作業をしていただいている途中で電話が鳴って、いちど中断して電話機のところまでいってスクリーンをみたら「050じゃ」とだけいって目配せして、電話は鳴らしたまま無視して作業に戻られるシーンがあった。たしかに、それがみえたらすべて特殊詐欺だとおもって一切出ないというのでいいんだな、と教わった。

ふらりとおとずれてぜんぶで一時間でみてもらった。点火プラグの劣化が気になっているけど、それをみるのには半日かかるし車両をおいていちど帰ってもらうことにもなるから、車検のときにいっしょにやるのがいちばんいいと教わった。次の車検は半年後で、それはここでみてもらえたらそれがいちばんいいなとおもって帰った。