パートナーがアメリカに帰る土曜日のこと。

ジャズ喫茶「アビイロード」のマスターに電話をかけて、新年のあいさつをする。いつもは午後にお邪魔しているのを、うちのひとも興味があるようで、朝からですが連れていってもいいですか? どうぞどうぞ、というのでうかがって、ぼくの知らない盛岡のジャズ話をふたりがしているのをあいだに立って聞く。穐吉敏子さんのこと、金子麻里さんのこと、ジョニーの店主のこと。その穐吉さんのビッグバンドの Live at Newport より “Minamata” を聴かせてもらう。ウェザー・リポートのライブ盤 8:30 を聴かせてもらう。

お昼がすこしおそくなって、もうすぐ二時になると近所のレストランはぜんぶ閉まってしまうというとき、電話をかけてラストオーダーにまにあうのをたしかめてから、ぱらだいすまで歩いていく。チーズインメンチカツと和風ハンバーグをたべる。セットのコーヒーを食後にだしていただくのにすこしかかってしまっている。こちらも時間がすくなくて、できているぶんだけをいただくことにしてしまう。

最後の荷造りをして、忘れ物のないように見渡して、暖房をきってカーテンを閉める。隣にあいさつをしてからいこうとして、呼び鈴を鳴らしたけどご不在のようにおもって、家の前の通りをあるいていくときに、ちょうどCさんの親子が通りかかって軽トラから声をかけてくれて、ごあいさつをする。仙石東北ラインに乗る。鏡のような松島湾をながめる。仙台駅でアメリカへのおみやげにずんだもちをえらぶのを待つ。はやぶさでうたたねする。

上野から浜松町、浜松町から羽田空港第3ターミナルとわたる。モノレールの窓から東京タワーがちらとだけみえる。首都高がなつかしくみえる。よそ者の目で東京をながめる。

スーツケースを整理してチェックインするのを見届ける。自動チェックイン端末が「登場便の振り替え優先リストに協力してギフトカードを手に入れましょう」というのに戸惑って「それに協力するときょう帰れなくなっちゃうかもよ」「たしかに!」という会話をして、おことわりする。モスバーガーにはいる。引越してこっちハンバーガーを食べるのなんてほんとうにひさしぶり、といいながらごちそうしてもらう。おたがい書いてきた手紙を交換して、なごりを惜しみながら検査場へ送り出す。こうして一ヶ月ぶりにひとりになる。

羽田空港第3ターミナルから品川へ、品川から東京へともどる。当日券売り場で福島行きの切符をとる。23時すぎ、やまびこの最終便で福島につく。いま乗ってきた新幹線の出発ベルに読売ジャイアンツの応援歌が流れたのをきいてふしぎにおもうと、ホームを降りたところにこの曲を書いた福島出身の作曲家の紹介パネルが立っているのがみえる。

予約しておいてもらった西口のリッチモンドホテルにチェックインする。風呂にはいって、しばらくそわそわと注意散漫でいたあと、ひろいベッドでねむる。