おなじ商品をいちどは商品の取り違えで、もういちどは初期不良で立て続けに返品する。
アメリカのクライテリオン・コレクションに小津の『浮草』の二本立てパッケージがある。34年のモノクロサイレント版と59年のカラー音声版をならべてみせて、おなじ主題を作家がどう撮りなおしたかじっくりみせる趣向になっている。
日曜日の朝の配達で届いたアマゾンの紙袋をあけたら、クープナイフが出てきた。フランスパンを焼く前に生地に切れ目をいれて模様を作らせるためのもの。注文したおぼえもなければ必要ともしていない。宛名こそぼくのものになっているけど、不在中のパートナーが届けさせたものかとおもってうっちゃっておいた。しばらくしてブルーレイの配達が完了しましたというメールが届いて、誤配とわかった。
ウン千円のブルーレイといって、数百円のカミソリが届いた。すぐに返品をリクエストする。注文履歴のページにそれなりにわかりやすいナビゲーションがある。最寄りのクロネコヤマトかファミリーマートに持ち込んで発送しろというのは、あちらのミスのためにこちらが尻拭いして汗をかかされるみたいで鬱陶しい。
ファミリーマートの端末に2次元コードを掲げたら配達状をプリントできる。パン切りカミソリを配達してよこした紙袋にそのままいれてそのまま送り出す。翌日の夜までには支払い済みの料金がアマゾンポイントに充当されて、返品はおしまいだ。そのポイントを使っておなじ商品をもういちど注文しなおす。
三日後にアマゾンからふたつめの紙袋が届いて、こんどはおもったとおりのブルーレイのパッケージが到着した。さっそく観ようとディスクを再生機にいれた。すると “No Disc” といって再生できない。あれ?
手近にあった別のブルーレイを試してみた。再生できる。アメリカのレーベルだからだめということもなく、おなじクライテリオンで『戦場のメリー・クリスマス』は再生できる。
いろいろ試すうちにいちどだけ再生できた。もういちど挿れなおしたらやっぱり “No Disc” になってしまった。粘れば再生できるにしても、異常をかかえた不良品であるのにはかわりないようで、ふたたび返品をリクエストする。
ファミリーマートに持ち込むまえに “No Disc” の証跡を画像で持っておこうとおもってもういちど試す。三度までつづけて再生できたあと、四回目からはまた失敗続きとなる。
観察すると、うまくいくときには挿入するなりディスクを回転させる音がする。うまくいかないときは挿入してもそもそも読もうとさえしていない。ディスクの光学的欠陥によって再生機が円盤を認識しないというのは、よくある不具合のひとつらしい。
ふたたびファミリーマートまで出かけて不良品を発送する。二度続けての返品で疲れてしまった。縁起が悪いのでもう再注文もせずに、クレジットカードに返金してくれるようリクエストする。