ジェイソン・ステイサムが製作と主演をしている新作映画をみる。
スコットランド、ヘブリディーズ諸島に隠遁して生活している男(ジェイソン・ステイサム)のもとに週にいちど生活物資がとどく。嵐のなかの配達でジェシー(ボディ・レイ・ブレスナック)が遭難したのを助けて、徐々に交流がはじまる。しかし男は名前すら知らせない。遭難時に怪我をしたジェシーの左足が化膿しはじめる。病院には連れていかないと男はいい、ひとり本土に向かう。
薬局の監視カメラに映らないように注意深く買い物を済ませたあと、店先にいた女学生たちのライブ配信が彼の姿をとらえる。英国政府の国民監視システムはそれをたちまち解析して、彼が国際テロリストだと明らかにする。孤島を襲撃した特殊部隊が一網打尽にされると、ひと違いなのではないかという疑惑が生まれる。システムを改ざんして彼を狙っていたのは、ほかでもないMI6元長官なのであった…
あらすじに「灯台守として暮らす元特殊部隊員」と書いてあるのをみて、養蜂家(『ビーハイブ』)と現場監督(『ワーキングマン』)の次は灯台に転職したわけ、と職場体験映画のつもりでみにいった。公開してまだ二週間にして、字幕版の上映がもう終わってしまうというので、ほとんど最終日にすべりこむ格好でみにいった。蓋をあけてみたら、孤島に隠遁している男のそばに放棄された灯台があるというだけで、灯台守の話ではなかった。
手ごわい敵と呼ぶに値する相手はさしあたりひとりしかあらわれなく、おおむね顔もおもいだせないモブ敵を掃除するだけのアクションではあった。そのひとりの敵とも二度三度対峙するうち、だんだんこいつも実はたいして強くもなければ戦う価値もない、モブあつかいでいなされてるな、という印象に転じて、主人公との圧倒的な力の差は顕著だった。
まず敗けることはないと安心してみていられるのはそうなのだけど、たとえば『ワーキングマン』で余裕たっぷりの元特殊部隊員がプールサイドで食パンをかじりながら拷問するシーンが強く印象に残っていることをおもいだすと、なんかそういう独特なウィットのある場面がひとつでもあればもっとうれしかった。
鎖で巻き上げた鉄パイプを横っ面にフルスイングして首を折るのがいちばん派手な暴力だった。灯台守の職場体験をしっかりやっておかないと個性的な暴力のひらめきには恵まれないということなのか。